山本 文緒

「日々是作文」 山本文緒 著

<あらすじ>

31歳の私に、10年後の私をこっそり教えてあげたい-。離婚して仕事もお金もなかった31歳から、直木賞受賞&再婚してしまった41歳まで。絶品の恋愛小説で読者の心を揺さぶり、出口の見つからない切さなさを描いてきた著者も、日々様々な思いに揺れながら「微妙なお年頃」を過ごしてきた。激動の10年間を綴ったエッセイ集。

 

<感想>

山本文緒さんが好きだ。

出会ったのは30歳すぎぐらいか?最初に読んだのは「眠れるラプンツェル」だった。読んだ当時、主人公の汐美の置かれた状況や心境が、その当時の自分の抱える閉塞感とシンクロしてしまって貪るように一気読みしたことを覚えている。その一冊で山本氏のファンになった私は、彼女の出版した本はライトノベル(少女向き小説)を除いてほぼ完読した。小説でもエッセイでも、彼女が数行に書く文章が、自分が文章にできなかった心の奥の気持ちを表現してくれることが多くて惹かれる。このエッセイも(そうそう、そうなんだよね)とか(わかるわー)と共感できることも多かった。モチロン違う部分も多くあるけれど、そんな文章に出会った時は、(へぇーなるほどねぇ)と友だちの話を聞くような感覚で読んでしまう。

私よりも3歳上(だと思う)。同じ時代を生きた同世代の女性としも魅力を感じている。

あまりエッセイを好んでは読まない方なのだけれど、山本文緒さんのは読んでしまう。それはまるでお酒を飲みながら、山本さんの思ってることや考えてること、不満や不安を聴くような感覚に似ているから好きなんだと思う。

 

「アカペラ」 山本文緒 著

<あらすじ>

ぼけ気味の祖父を慕う15歳の少女を描いた「アカペラ」をはじめ、故郷を捨てた自称ダメ男:春一が20年ぶりに故郷を訪れる「ソリチュード」。病弱な弟と姉のちょっと変わった愛情の物語「ネロリ」の3本を収録。

ひたむきに、健気に、静かにそーっと生きるあなたに、切ないほどの優しさがゆるやかに胸にしみ入る珠玉の小説集。

 

<感想>

待ちに待ったフミオさんの6年ぶりの新刊。

再婚、直木賞受賞・・・作家道を順調に歩まれていると思っていたのに、実はうつ病で苦しい日々を過ごされることになっていたと知るのはずっとあと。(詳細は「再婚生活」に書かれているようである)

フミオさんの感性が自分の中にある潜在意識の"なにか"といつも共鳴するから彼女の小説が大好きで、ほぼ全部読んでいる。

「再婚生活」は彼女がウツで苦しかった時期の日記のようなので、共鳴するのが怖くて読まずにいるが、新刊をどれほど待望していたことか。

本作「アカペラ」の中に収められた3つの短編のどれもがフミオさんで、どれもに新しいフミオさんを感じられ、自分の読書スピードの速さを悲しく思うほどにフミオさんを感じて読み終えた。

もちろん、フミオファンの甘い採点であることも十分承知。それでも彼女のこれからの小説を心から楽しみにしている。

3編とも主人公にもその周りに人たちにも、切なさ、苦しさが漂っていて、この感覚がフミオさんだなって。人の幸せ、人を好きになることに人の感覚なんて関係なくて、様々な形があるんだと言うことを感じられる作品たちでした。中でも私が1番好きなのは「ソリチュード」。ダメダメな春一に惹かれる自分に気づいたぐらい。

 

「そして私は一人になった」 山本文緒 著

<あらすじ>

あれほど結婚したかったのに、離婚してしまった。

そして32歳にして、初めての一人暮らし。

幸せを感じていた時も、心のどこかでずっと望んでいた一人きりの日々。その一年を地道に綴った日記エッセイ。

文庫版にあたって、最新書き下ろし日記「四年後の私」と、

秘蔵おもしろエッセイ「インド紀行~ナマステ・クミコ」をあわせて収録。

 

<感想>

「かなえられない恋のために」その後のエッセイ。

ひとりで暮らしていくと言うことを教えられます。

「かなえられない恋のために」 山本文緒 著

<あとがき>

わたしは結婚さえすれば、恋愛地獄から解放されるのだと思っていた。

悪霊ケッコンガンボーは確かに去ったけれど、ふと足元を見ると、

ずぶずぶと砂に埋まっていく自分が見えた。

惚れたのはれたの、嫉妬だの浮気だの、そういう事から逃げることはやはりできないのだ。

 

<感想>

これは山本文緒さんのエッセイ集。彼女の魅力がいっぱい詰まっている。

エッセイだからと気合いを入れすぎず、とても素直に、

しかも真剣に人生に対している姿勢が、自然に描かれている。

本文の中に、

『とにかく私はその男の人が好きで好きで、

浮気どころか完全に二股をかけられているのも承知で、それでも好きで、デートできることが嬉しくて、毎日がその人と逢っている時間と逢っていない時間の二種類にしか分けることができなくて、つき合いはじめて二年たってもまだ逢う度にどきどきして、親に泣かれようが殴られようが外泊しまくって、バイト代を全部彼とのデートやプレゼントにつぎ込んで、

それでもその人から ”安心” を受け取ることは一度もなかった。何もできない私。

頭も悪いし、運動神経も悪いし、性格ももっと悪いし、不美人で小太りで卑屈な私。

その私が唯一の得意分野を放り出したら、ただの三十路のプー太郎である。

小説なんか書かなくても、君が好き。

そう言ってくれる人はいない。いないのだ。書くしかない。私は書くしかないのだろう、きっと』

コレ、すごくわかるのは私だけかな?

 

「恋愛中毒」 山本文緒 著

1999年 吉川英治文学新人賞受賞

 

<あらすじ>

もう神様にお願いするのはやめよう。

どうか、どうか、私。これから先の人生、他人を愛しすぎないように。

他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛するように。

哀しい祈りを貫きとおそうとする水無月。

彼女の堅く閉ざされた心に、小説家創路は強引に踏み込んできた。

人を愛することがなければこれほど苦しむ事もなかったのに。

世界の一部にすぎないはずの恋が

私のすべてをしばりつけるのはどうしてなんだろう。

吉川英治文学新人賞を受賞した恋愛小説の最高傑作。

 

<感想>

今までの山本文緒作品とは少し雰囲気が違う小説だった。

けれど、退廃的な文章は健在。

ミステリーではないが、謎めいた設定で、

主人公:美雨の生き方やその言動がとても哀しく、なんだかやりきれない。

”ひとを愛すること”を考えさせられる小説である。

ひとを愛することはとても素敵なこと・・・だが、その”愛”で、自分を見失ったら・・??

愛しすぎて自分を見失っていく美雨が切なく悲しすぎる。

誰でも愛する人のすべてを欲しくなるのは当たり前のこと。

現実はどれだけ愛してもひとつになることなどないもので、

いつしか人は、それを理解して、なんとか自分の気持ちを切り替えていくのだが・・・。

愛しすぎてボロボロになる恋愛の行き着くところ・・・・を見れる作品かも??

 

「落花流水」 山本文緒 著

<あらすじ>

1967年。

わがままで甘ったれの手毬=7歳。12歳のマーティルは隣家に住む仲良しだった。手毬(てまり)と言う少女の一生を2027年まで描いた壮絶な人生の物語。物語は7部構成になっており、

それぞれ、7歳、17歳、27歳、37歳、47歳、57歳、67歳の手毬

または、手毬の密接に関係している女性の話しが軸である。

何を得るのが幸福なのだろうか。捨てることが出発だったのか。

愛に翻弄されて、救済される。危うい家族関係の中に描く人間の愛憎物語。

 

<感想>

ん~この小説に関しては私の評価はイマイチ。

今までとは手法を変えて書いた努力は感じる。

手毬と言うひとりの女性、及び彼女と密接な関係にある女性を軸に話しは進む。

相変わらず、脆くて危うい精神バランスを保ちながら、

それでも自分の居場所を求めて生きていく女性を描いてるのことは

いつもどおりの作風ではあるけれど、

救いのない状況に読み終わった後味は悪い。

人生は決められるものではないと私は思いたい。

 

「みんないってしまう」 山本文緒 著

<あらすじ>

大人になるにつれ、時間はだんだん早くなる。

物事は思った以上に早いスピードで流され、手のうちからこぼれおちていく。そんな時、大切な何かをひとつずつ失ってはいないだろうか?

例えばそれは恋、信頼、友情だったり…。そうして残されるのは自分だけ。喪失を越え、人はたったひとりの本当の自分に出会う。

いとおしい自分探しの物語。

 

<感想>

対象喪失をテーマにした12の短篇集。

読んでいるウチに心の中に風が吹き抜けるような空虚感を感じる。

“ひとつ失くすと、ひとつ貰える。そうやってまた毎日は回っていく”

文緒氏は書いているけれど・・・。

毎度の事ながら文緒氏にかかると人間のエゴイズムを感じ、

それが人間を感じさせ愛おしくなる。

 

「眠れるラプンツェル」 山本文緒 著

<あらすじ>

「暇ですな」。 そう呟いて、ひとりで笑う。 昨日も、今日も、明日も、夫は帰らない。 子供のいない専業主婦歴6年。 私の唯一の仕事は 週1回の生協の集まりに参加することだ。 私は私に満足していた。

それなのに・・・・隣の家の子供に恋してしまうとはー!

新しい世界は開けるか? 意外な結末まで・・・

 

<感想>

27歳。結婚3年の主人公=汐美のある1年の記録。

この小説と出会った頃の私は、主人公の汐美とキモチにダブりがあった。

仕事もない・趣味の時間もない・自由もない・選ぶ自由さえもない・・・

そぅ高い塔に監禁されているような ラプンツェル。

夫は妻がそんな空しさを抱えているなんて思いもせず、

家族のために働いているオレが1番大変だ!と思いこんでいる。

オレががんばってるんだから、妻も子供も幸せで当たり前。

そう確信している。それが違うことに気づかない。

妻は何を考えて結婚生活を送っているのか・・・?

今、何を目標にこれから生きていくべきなのか?

最後の12行は心にずし~んと来る。

あなたの未来もまだ何も決まってないんだから。

 

「プラナリア」 山本文緒 著

第124回 直木賞受賞

 

<あらすじ>

・プラナリア

乳がんと診断され、手術。現在も通院治療をしている主人公。

これといった定職にもつこうという意欲が湧いてこない。

主人公の病気のことを理解して、付き合ってくれる恋人もいるが

その彼との関係も・・?である。

これから彼女はどこへいくのだろうか・・?

・ネイキッド

バリバリのキャリアウーマンでやってきた主人公。

そこで知り合った老舗店の独り息子と結婚。

結婚後はその店を繁栄させることを生きがいとしてがんばってきたのに、

そのことがきっかけで夫婦関係は破綻する。

今の暮らしは・・・?そんな女性のこれからを書いた作品。

・どこかではないここ

普通の家庭にリストラの波がかぶってパートに出ることになった話。

・囚われ人のジレンマ

大学院の彼がいる主人公。

彼とは長い付き合いでアツアツの恋人同士ではないけれども

居心地のいい関係である。

ある日、その彼から「そろそろいいよ」っと言われる。

その「そろそろいいよ」は『結婚』を意味しているのだが、

その言い方はなんなんだ?っとひっかかるところから始まる話。

・あいあるあした

主人公は居酒屋の主人。家庭を持っていて子供もいたが、今は独り身である。

すみ江という女性と暮らしているが、そのすみ江は謎の女である。

惰性で生きる男の話。

 

<感想>

私的には、「囚人のジレンマ」が1番好き。

「そろそろいいよ」っと言われてどうして『結婚』しなきゃいけないのか・・・。

なんでもないことだけれど、それにこだわる主人公の気持ちを私はとても理解できる。

「ネイキッド」もなかなかいい。

一生懸命、夫のために店のためにやってきたのに、それを全否定されたとき、たまらない喪失感が主人公を襲う。いったい自分はなんのために生きてきたのか?これから自分はどこへいくのか・・?

山本文緒作品はいつも、どちらかと言うとまじめで、きちんと生きなきゃとわかってはいるが、いまいち努力することができない人物を描くとピカイチだ。

 

「ブルーもしくはブルー」 山本文緒 著

<あらすじ>

広告代理店勤務のスマートな男と結婚し、東京で暮らす佐々木蒼子。

六回目の結婚記念日は年下の恋人と旅行中…。

そんな蒼子が自分のそっくり「蒼子B」と出くわした。

彼女は過去の記憶をすっかり共有し、昔の恋人河見と結婚して、

真面目な主婦生活を送っていた。全く性格の違う蒼子Aと蒼子B。

ある日、二人は入れ替わることを決意した。

誰もが夢見る「もうひとつの人生」の苦悩と歓びを描いた

切なくいとおしい恋愛ファンタジー。

 

<感想>

「ブルーもしくはブルー」は私が文緒氏の本で3冊目に読んだ本。

ドッペルゲルガー=自分と同じ人間が同じ世界の違う場所で暮らしていると言う幻想を見つけ同調し入れ替わる話。誰だって思っている、((あのときこれを選んでいれば・・・))を体験した小説。この小説がまるで、自分の人生は自分のもの。自分で選んで、進んでいるのだ。

今の幸せも自分が築いたものだし、今の哀しみも自分で築いたモノに過ぎないんだっと言うことを見せつけている気がした。

 

「ブラック・ティー」 山本文緒 著

<あらすじ>

胸に手をあててみれば思い当たる軽犯罪、約束をやぶったり、借りたモノを返し忘れたり・・・。そんなちょっとした罪にかきたてられる自分のなかの不安、他人への不信感。誰だって純真でもなく、賢くもなく、

善良でもないが、ただ懸命に生きるだけ。ひとのいじらしさ、可愛らしさをあざやかに浮き彫りにし、心洗われる物語の贈り物。

 

<感想>

文緒さんの短編は最高。

10枚弱の原稿用紙の中にちゃんと主人公の背景・性格とその事件が起きたきっかけがわかるように描かれている。この本には10話からなる。

私はブラック・ティー/夏風邪/ニワトリが気に入ってる。

 

「ファースト・プライオリティー」 山本文緒 著

<あらすじ>

「あなたのファースト・プライオリティーは何ですか?」

31歳の女性、31通りの最優先課題。

 

<感想>

1つの小説が10ページ足らずなので時間のない時でも読みやすい。

31歳の女性を主人公に31編の話しを描いた短編集。

文緒氏は日常の落とし穴や、心の隙間の短編を書かせたらピカイチだ!

10ページ足らずの中にも状況説明を巧く説明しており、普段、心が元気な時は上手に越えらていたストレスに、ある日突然に拒否反応を起こし、越えられなくなり崩れていくと言う現実をうまく表現していると思う。

ファースト・プライオリティー =それぞれの女性の最優先事項を書き描いた小説。

 

「パイナップルの彼方」 山本文緒 著

<あらすじ>

都会の片隅でひとり暮らしをし、父親のコネで入った信用金庫で居心地のいい生活を送っている平凡なOL・鈴木深文。上司や同僚ともそれなりにうまくやっていたが、ひとりの新人の女の子が配属された時から、深文の周りの凪いでいた空気がゆっくりと波をたて始めた―。

現実から逃げだしたいと思いながらも、逃げだすことをしない深文の想いは、短大時代の友人月子のいるハワイへと飛ぶ…。

あなたの周りにもあるような日常を、絶妙な人物造形で繊細に描く、驚くほど新鮮なOL物語。

 

<感想>

文緒氏の作品で2番目に読んだ小説。

2002年の文体とは違う。

カウンセリングが必要なほど

心がボロボロになってしまった主人公=深文(みふみ)の状況は理解できる。

よくあるOLの日常を描いた小説。

 

「絶対泣かない」 山本文緒 著

<あらすじ>

あなたの夢はなんですか?

仕事に満足していますか?

仕事に誇り、もってますか?

お金のためでもあり、お金以外のためにも、ひとは働く。

職場におこるさまざまな人間関係とハプニング、

プライドにもまれて、ときには泣きたいこともある―。

専業主婦から看護婦、秘書、エステシャンまで、

あなたに向いている15の職業のなかで、

自立と夢を追い求める女たちの人知れぬ心のたたかいを描いた、元気の出る小説。

 

<感想>

花のような人―フラワーデザイナー、ものすごく見栄っぱり―体育教師

今年はじめての半袖―デパート店員、愛でしょ、愛―漫画家

話を聞かせて―営業部員、愛の奇跡―専業主婦

アフターファイブ―派遣・ファイリング、天使をなめるな―看護婦

女神の職業―女優、気持ちを計る―タイムキーパー

真面目であればあるほど―銀行員、もういちど夢を見よう―水泳インストラクター

絶対、泣かない―秘書、卒業式まで―養護教諭、

女に生まれてきたからには―エステティシャン

以上15職業から成り立つ短編。

毎回言うが短編書かせたら絶品です。

切なさあり、元気がでる小説あり人生って捨てたモノじゃないなと思わせたり・・・読み飽きない。

「体育教師」なんか結構イイ。

 

「シュガーレス・ラヴ」 山本文緒 著

<あらすじ>

・短時間、正座しただけで骨折する『骨粗しょう症』

・美人と言われてトイレにも立てなくなる『便秘』

・恋人からの電話を待って夜も眠れない『睡眠障害』

・月に1度些細なことでイライラするオンナ『生理痛』

・フードコーディネーターを突然襲う 『味覚障害』

恋が、仕事が、家庭が、女たちの心と身体を蝕んでゆく。

現代女性をとりまくストレス・シンドロームと、

それに立ち向かい再生する姿を描く10話。

 

<感想>

私は 山本フミオの小説が好きだ。

文緒氏は人間の嫌な部分をクローズアップされたような文章で、

読者をぐんぐん引っ張って行く。

こんな文章を書きたいと思うが、自分が可愛い私にはとても書けない。

そんなノーマルな場所にいる私をよそに文緒氏はどんどん書き綴っていく。

 

「結婚願望」 山本文緒 著

<あらすじ>

25歳までに恋愛結婚・共働きをして暮らす。

結婚に夢を持ってた作家=山本文緒。

結婚をするところまでは予定どおりだったが、その後離婚。

企業を退職して作家になる道を選んだ彼女の結婚とは・・? 

"結婚とそれからの人生"を語っているエッセイである。

これからのあと半分の人生を(フミオさんは当時37歳)ひとりでどう生きていくか・・・。

 

<感想>

共感できる部分もあり、できない部分もあるエッセイ。

彼女の感じていることは、まったく環境の違う今の私でも虚しく、不安に感じることとリンクしているように思う。時々<結婚・結婚している意味>がわからなくなる私だが、このエッセイにはその理由がほんの少し見えそうになる。

この不安はなんなのか?虚しい理由はなんなのか・・が少し見えたような気がした。

 

「群青の夜の羽毛布」 山本文緒 著

<あらすじ>

「家族っていったい何でしょうね?

たまたま血が繋がっているだけで、どうしていっしょに暮らしているんでしょう。」

丘の上の一軒家に住む女三人。家族とも他人ともうまく関係を結べずに大人になった長女と、その恋人をめぐって、母娘の憎悪、心の奥底に潜めた暗闇が浮かびあがる…。恋愛の先にある幸福を模索した、ミステリアス長編小説。

 

<感想>

この母親のキャラは強烈だ。

主人公=さとる、はどうしてこの家から逃げ出さないんだろう!?

私ながら絶対にひとりで生きていく。そう思いながら読み進めていった。

さとるが家を出ない理由は、ラストで明らかになるが、この原因がなくても彼女は家をでれなかった人なのだろう。他人とうまく付き合えず、人に嫌われたり去っていかれるのを怖がる彼女だったら・・・。家族だけは自分を見捨てない。誰もさとるを救えない。

彼女を救えるのは自分自身だ。

 

「紙婚式」 山本文緒 著

<あらすじ>

一緒に暮らして十年、小綺麗なマンションに住み、互いの生活に干渉せず、家計も完全に別々、という夫と妻。傍目には羨ましがられるような二人の関係は、夫の何気ない一言で裂けた。一緒にいるのに満たされない、変化のない日常となってしまった結婚のやるせなさ、微かな絆に求めてしまう、そら恐ろしさ。

表題作「紙婚式」ほか、結婚のなかで手さぐりあう男女の繊細な心の彩を描いた珠玉短編集。

 

<感想>

女性の立場から見た『結婚』について描かれた短編集。

全編に感じることは、(こんな形でも夫は妻を愛している)っと言うこと。

それを女側は理解できない・違うと思うのであって、

そこから結婚生活のズレが生じるんだろうな~っと・・・。

 

「あなたには帰る家がある」 山本文緒 著

<あらすじ>

結婚していても、人を好きになるのは止められない。幼い子供を抱える真弓と秀明。家の建て替えを考えている茄子田と綾子。

二組の夫婦の危うい絡み合いを描き、「結婚」の意味を問う長編小説。

 

<感想>

私が持っている不安を書いたような小説。「どうして私だけ・・・」というようなジレンマ。小さい子供を持つと、思いどおりにならない事は多く、世間が狭くなるという焦燥感。不満の矛先は父親である夫に向けられる。

夫と妻、父親と母親。

そのバランスが危うくなる時期を痛烈に書いた小説。