長嶋 有 

「猛スピードで母は」 長嶋 有 著

<あらすじ>

「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。小六の慎は結婚をほのめかす母を冷静に見つめ、恋人らしき男とも適度にうまくやっていく。現実に立ち向かう母を子供の皮膚感覚で描いた芥川賞受賞作と、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんとの共同生活を爽やかに綴った文学賞新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。

 

<感想>

2作品とも賞を受賞している。なるほど、こう言うつかみどころのない作品って芥川賞をとりやすいのだろう。(過去読んだ芥川受賞作の印象と似てる)

この2作は、共に親の勝手に振り回される子供の目線から描いてあり、子供はオトナが思っている以上に状況を理解していて、割り切って生きてる姿が淡々と描かれている。

「猛スピードで母は」の一節に、慎の母は子供の頃、漫画家になりたかったが厳格な父親に反対され断念した経緯がある。息子である慎が漫画家になりたいと知った時、「あんたはなんでもやりな。私はなにも反対しないから」と言うシーンがある。逆に、「サイドカーに犬」の母親は、夜更かしを怒ったり、お菓子を食べる皿とおかずを入れる皿の区別にうるさかったりと、几帳面過ぎたようなくだりある。両作品ともに、親の「放任」と「責任」とをさらっと描いているのだけれど、どちらの作品も私の感覚と違ってて、読んでいてイラっとしてしまった。

結局、子供は干渉され過ぎるのも、放任され過ぎるのもさみしいのだ。親である母・父が自分の人生を生きようとする時、子供もその煽りを必ず受ける。致し方ないとは言え、それを気持ちよく読めない母親である私・・・。そんな感情があるため、相当読むのに時間がかかってしまった。