沼田 まほかる

「ユリゴコロ」 沼田まほかる 著

<あらすじ>

亮介が実家で偶然見つけた「ユリゴコロ」と名付けられたノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。創作なのか、あるいは事実に基づく手記なのか。そして書いたのは誰なのか。謎のノートは亮介の人生を一変させる驚愕の事実を孕んでいた。

 

<感想>

新聞広告でこの本を見つる。惹かれて購入。

約288ページを2日で読む。

沼田まほかる氏の著書は初。

買いに行った本屋ではホラー・ミステリージャンルになっていた。

ちょっと解せない。ミステリーではあるが謎ときをする小説ではないし、そこを狙っている小説ではないと思う。

冒頭から主人公:亮介は半年のうちに、婚約者が失踪。父親に末期がんが見つかり、突然に母親が交通事故で亡なる。奇妙とも言える負の連鎖を感じた亮介。そんな時、実家の押し入れから4冊の手記が見つかる。日記なのか小説なのかわからず読み始めるところから話が展開していく。

半分は想像範囲の展開だったが、残り半分は(そうくるか?)や(まさかここまでなの?)と言う感想。

残虐ではないが残酷な話のオンパレードで、けしてきもちのいい話ではないのだが、読みたくなくなるほどの嫌悪感は起こらなかった。不思議だ。

「殺人」については、現実にあり得るだろうとも思うし、犯した罪は罰せられるべきだと思うのだけれど、怒りを感じないのだ。

中盤はほんとうに引きつけられた。その分、後半は都合良く話しが進んだ気がして若干興ざめ。婚約者の失踪のくだりにもうふたひねりほどあったら、すごかっただろうと思う。

沼田まほかる。これからしばらく読むだろう作家をひとりみつけた。

 

「彼女がその名を知らない鳥たち」 沼田まほかる 著

<あらすじ>

八年前に別れた黒崎を忘れられない十和子は、淋しさから十五歳年上の男・陣治と暮らし始める。下品で、貧相で、地位もお金もない陣治。彼を激しく嫌悪しながらも離れられない十和子。そんな二人の暮らしを刑事の訪問が脅かす。「黒崎が行方不明だ」と知らされた十和子は、陣治が黒崎を殺したのではないかと疑い始めるが・・・。

衝撃の長編ミステリ-。

 

<感想>

読み始めてすぐ、主人公の十和子の心根キライだと思った。下品で貧相で小汚いと生理的嫌悪感する陣治に頼って暮らし、おまえはなにをやってんだよと怒りを持ったし、別れた男を八年も未練たらしく引きずっていることも不快だ。そして何よりも関西人の私が読んでもイヤになるほど陣治の話す大阪弁が不愉快なのだ。とにかく不愉快だらけの読み心地なのに、それでも先を読ませる魅力がある小説で、途中でやめようとは思わず、十和子が黒崎に何をされたのか知りたい。陣治がほんとうに黒崎を殺ったのか知りたいと読んでいた。

そう思いながら読み進めるうちに、陣治は十和子が言うほどの下品で貧相でみすぼらしい男ではなく、十和子の方が、精神的にも人格的にもおかしいんじゃないのか?と思えてくる。

中盤、均衡を保てなくなったのか陣治がおかしくなるくだりがあるのだけれど、あれは何の意味だったのか?その部分が不明だが。

ミステリージャンルとなっているのでネタバレは避けて感想を書くが、展開、結末はそちらへ着地かっと言う感じ。悪くはないのだけれど、その方向に進むなら前半が少し長い気する。

結局、十和子は黒崎と別れた時点で壊れてしまってたと言うことなのだろう。

こんな風に自尊心が低い女性になっちゃイケナイ。女性は死ぬまで気高くいるべきだ。

今後、沼田まほかるを読破するか否か・・・思案中。

 

「九月が永遠に続けば」 沼田まほかる 著

<あらすじ>

高校生のひとり息子の失踪にはじまり、佐知子の周囲で次々と不幸が起こる。愛人の事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。息子の行方を必至に探すうちに見え隠れしてきた雄一郎とその後妻の忌まわしい過去が佐知子の恐怖を増幅する。悪夢のような時間の果てに出口はあるのか-。人の心の奥底まで続く深い闇、その暗さと異様な美しさをあらわに描いて読書界を震撼させたサスペンス長編。

 

<感想>

沼田まほかる氏の作品はこれで3冊目。

アタマから最後までずっと、黒くて重い雲で覆われている、閉塞感ばかりの作品でした。

私にとっては、共感や理解などを超えてるホラーサンスペンスなので小説の内容について感想を書くのは非常にむずかしいです。だって、ひとり息子の文彦が、10代の青年らしい一途な感情で純真無垢に亜沙美を愛していることを母親の佐知子が達観したように受け入れていたこと自体理解できませんから。結局、「亜沙美」と言う女性が、男にとっては魔性の女で彼女に捕らえられたらあらがえなくなるほどの魅力を持っていること。それは女性の目から見てもそうであることがすべてなのかと思います。

余談ですが、子どもが小さかった時、ちょっとした買い物にサイフだけ持ってコンビニに行ったりするとき、ふっと(このままココから失踪したらどうなるんだろ?)などと考えたことがあります。私には(失踪願望)があるんですね。この話を数人の友だちにしたら「わからん」と言われたことがあるので、誰でも持つ感情ではないみたいですけど。

「失踪」が題材になっている小説にナゼか惹かれるのはこのせいかも知れません。