田口 ランディ

「ミッド・ナイト・コール」 田口ランディ 著

<あらすじ>

大好きな男友達としこたま飲んだ夜、雨の中を一人マンションに帰された加津子は、猛烈な怒りを押さえきれないでいた。やりきれない傷みとさびしさにまかせ、過去付き合った男たちに次々と無言電話をかける加津子。やがて一年前に婚約解消された高木に繋がり(アカシヤの雨に打たれて)。

自信をもって誰かを好きになるために、本当の自分を探している女性達を描いた恋愛小説。

 

<感想>

9つの短編からなる小説。

全部、30代Overの女性の焦燥感や孤独感を等身大で表現している作品だと思う。

この中で私は、「四月になると彼女は」と「100万年の孤独」が好き。

恋愛ベタの女、自分に素直になれない女、自信のない女や男、

下心に震える小心者、怒りを押さえられない女、孤独な男、

寂しさにつぶされそうな女、愛されたい身勝手な男と女が登場する。

 

「コンセント」 田口ランディ 著

<あらすじ>

主人公朝倉ユキにはひきこもりの兄がいた。その兄が自室で腐乱死体となって発見される。アパ-トの一室に閉じこもったまま暑さによる心不全で亡くなったという。訃報を受けて駆けつけたユキは、兄が腐乱した部屋の匂いを嗅いだことで嗅覚異常に悩むようになる。空気の中から死臭を嗅ぎ分けてしまうのだ。自分がおかしくなるんじゃないかと不安に思ったユキは、兄の死の理由について探求するしかないと考える。

なぜ、兄はひきこもり、そして衰弱死したのか。そこには「コンセント」というキ-ワ-ドが浮上してくる。その謎解きをしながら、ユキは自分の内面世界へと踏み込んで行く。

 

<感想>

読みやすい。

偶然かどうか、このコンセントを読み終えた直後、私は<肺炎>で倒れた。

なんか因果関係があるんちゃうの?と思わせるほど、

神がかり的な内容・精神学・心理学との関わりのある小説。

「ひきこもり」を題材にしていたり、

パソコンやインターネット用語(OSやハードディスクなど)を気持ちの説明に使うなど

いかにも現代小説。また、文章がエロティク。

こういうのって否定しないけど、賛成も出来ない私って・・・・古いのか?(笑)

共感するとか、しないとかそういう内容の小説ではないが、

こんな考え方もあるのかよぉ?が感想。

 

「アンテナ」 田口ランディ 著

<あらすじ>

15年前、妹はなぜ忽然と消えたのか?

父は死に、母は宗教にのめり込み、弟は発狂した。

そして僕はSMの女王ナオミと出会い、

封印してきた性欲が決壊し急速に何かが変容し始めていた。

 

<感想>

前作品「コンセント」とコンセプトは同じだなっと言う感想。

今回は主人公が男。(「コンセント」は女)

妹が忽然と消えたと言う忌まわしい出来事を忘れることが出来ず、

悩み苦しむ家族(父・母・主人公の僕・そして弟の裕弥)。

忘れ去ることも葬りさることもできない妹の失踪事件を、

家族がどのような形で収めていくのか・・。

このあたりが「コンセント」より熟考されていて筋書きがいいなと思った。

ただ、それがナゼ性と関係するのか・・・?

ま、セックスを通して投影することが田口ランディの手法なんだろうけど、

もっと違う形はないのかな?っと思うのだ。

セックスを使う表現方法はもう使えないんじゃないかと思うだけに

これからの展開が楽しみな作家である。

 

「縁切り神社」 田口ランディ 著

<あらすじ>

京都の奇妙な神社に迷い込んだ私は、一枚の絵馬に気づき、ぞっとした。「水野季実子と深田拓也の悪縁が切れますように」水野季実子とは、まさしく私。深田拓也とは、私が一カ月前まで付きあっていた男。

いったい誰が、なぜ?表題作「縁切り神社」。

他、12作品。男女のリアルで意外な一幕を描く傑作・恋愛小説集。

 

<感想>

短編集なので読みやすい。

「悲しい夢」「アイシテル」あたりは、田口ランディらしい文体。

他の作品は今までのパターンと違うものもありなかなか読み応えがあった。

私の心に響いたのは、「島の思い出」「エイプリールフールの女」

 

「スカートの中の秘密の生活」 田口ランディ 著

<あらすじ>

ヤリたい気分の女のシグナルの見分け方。

女のエッチはナゼ命がけ?春は妊娠しやすい?

女が旅人を好きな理由。ネット不倫にはまりやすい男女のタイプ。

ペニスの真珠より愛撫が大事。少女たちは発情してる・・・。

男はもちろん、女ですら気づかなかった身体の不思議と

女心の永遠の謎を本音で解明する、目からウロコの爆笑エッセイ!

 

<感想>

田口ランディの書籍は、小説よりコラム(エッセイ)の方がおもしろい。

今回の「スカートの中の・・・」は、”ここまでセキララに書く?”っと思うほど語っている。その中で『ネットワーク失楽園』と言う項目は笑える。

前略

ネット上でゲットする「ネット女郎蜘蛛」見たいなタイプの女がいたりなんかする。

年齢が26歳~32歳前後。エキセントリックで、コンプレックスがあり、自意識が強いわりには、あまり美人じゃない・・・・・・ってのが私の経験による「ネット女郎蜘蛛タイプ」だ。中年の妻子持ちが好きで、そういう男を見つけては誘惑し、破滅させていく。 

(中略)もちろん、恋と喧嘩がネットの花ですから、罠にかかるのも一興かと思いますけど。

ってな具合。

いろんな項目があるんだけど、少しでも納得できたり頷けたりすると爆笑っとなる。

夜寝る前のストレス解消にいかが・・・?

 

「もう消費すら快楽じゃない彼女へ」 田口ランディ 著

<あらすじ>

池袋路上通り魔事件/TOSHIの洗脳/酒鬼薔薇聖斗事件/林真澄美/野村沙知代問題/オウムなど世の中を騒がせた社会現象の実相とは?

そして微妙なバランスの上で成り立ってる現実世界の柔軟性の本質とは?

普通より少しだけ変わった人たちの哀しくも愛おしい姿に共感しつつ、

それでも変わらぬ日常のリアルの数々を綴るコラム。

 

<感想>

簡単に読めて楽。

ランディさん独特の切り口でおもしろくもあり、納得もできたコラム。

こういう視点で世の中を見ていると、切り口の違う小説が書けるんだろうなとなんだか思ったりして(^^;

コラムなので、上記の"池袋通り魔殺人事件"以外に、"子供を捨てる女の顔"とか"SM写真に癒される女たち"とか"カインの反乱"とか興味の持てるコラムもあるし、"すきまの女"とか"ゴミを愛する人々"みたく少し病んだひとの話しも出てきておもしろい。

私は特に『カインの反乱』に納得した。