江國 香織 (えくに かおり)

「いくつもの週末」 江國香織 著

<あらすじ>

「いつも週末だったら、私たちはまちがいなく木端微塵だ。

南の島で木端微塵。ちょっと憧れないこともないけれど」

いくつもの週末を一緒にすごし、サラリーマンの彼と結婚した著者。

今、夫と過ごす週末は、南の島のバカンスのように甘美で、危険だ。

嵐のようなけんか、なぜか襲う途方もない淋しさ…。

日々の想い、生活の風景、男と女のリアリズム。

恋愛小説の名手がみずからの「結婚生活」をつづった、

甘く、ビターなエッセイ集。

 

<感想>

江國氏の日常を描いたエッセイ。

江國さんの世界の一端を垣間見た感じがする。

小説と同じく、江國さんの毎日は穏やかな時間が流れているんだと感じる。

私の生活もこんなふうに穏やかに流れて欲しい。

 

「号泣する準備はできていた」 江國香織 著

第130回直木賞受賞作品

 

<あらすじ>

大丈夫、きっと切り抜けるだろう。

体も心も満ち足りていた激しい恋に突然訪れた破局、

その哀しみを乗り越えてゆく姿を

甘美に伝える表題作「号泣する準備はできていた」。

昔の恋人と一つの部屋で過ごす時間の危うさを切り取る「手」。

17歳のほろ苦い恋の思い出を振り返る「じゃこじゃこのビスケット」

など、詩のように美しく、光を帯びた文章が描く、繊細な12の短篇。

 

<感想>

12編の短編からなる小説。詩を読んでいるようなテンポの良さがある。

小説だけれど、ドラマチックや劇的なコトを書いているではなく、

フツウの日常の一片を切り取るように書いた作品で、

ぐっと来るような表現がたくさんある。

さすが「江國さん」と言う感じ。

12短編の中で私が好きなのは

「洋一も来られればよかったのにね」。

主人公は1年に1度姑さんと小旅行へ行くことがお約束のようになっていて、

今年もその旅行に来ていると言う設定ではじまる話。

姑の息子である夫とは随分前から、内面的に崩れてる関係であるという背景がある。

その一節に

「恋に落ちるということは 帰る場所を失うということなのだ」

「自分が誰のものでもなかった頃の、

 恋のひとつでどうにでも変われた頃の記憶のままに愛した」

と言うのがある。好きな一節だ。

 

「温かな皿」 江國香織 著

<あらすじ>

島衿子は考えうる限りの完璧な妻であり、母であり主婦である。

それは夫・良介と大学院生の娘・秋美の一致した考えでもあった。

夫・良介は衿子を愛していた、というより尊敬していた。

しかし、最近若くて美しい部下の高木千春と不倫してしまった。

衿子はすぐに夫の秘密に気づいた。

そして「私らしく、この問題を解決しよう」と

千春に、「クリスマスイブに一緒に食事をしたい」と電話をかける。

 

<感想>

8ページ前後の短い話が12篇集まった短編集。

まさに、江國ワールド。

本人はマジメにやってるのに傍目でみればバカな出来事もあり

結構風刺が効いている。

 

「薔薇の木、枇杷の木、檸檬の木」 江國香織 著

<あらすじ> 

恋する気持ちをとめることはできない。

9人の女たちの孤独と自由と情熱とため息と─

情熱。ため息。絶望…でも、やっぱりまた誰かを好きになってしまう!

恋愛は世界を循環するエネルギー。

日常というフィールドを舞台に、かろやかに、大胆に、きょうも恋をする女たち。

主婦、フラワーショップのオーナー、モデル、OL、編集者…etc.

9人の女性たちの恋と、愛と、情事とを、

ソフィスティケイトされたタッチで描く「恋愛運動小説」。

 

<感想>

主人公は9人の女性で、それに絡む6人の男性が出てくる。

この小説の中にひとつの街があって、9人の(15人)の人生が描かれている。

誰かに自分を重ねて読むことも楽しむ1つの方法かも・・。

それぞれが選び取った人生が、予定どおりにいかなかったり、何かで狂ってしまう。

そんな恐ろしさを描いた小説として読んだ。

どんな恋も特別ドラマッチックでなくはじまるのに、

当事者は"運命"なんて受け取っているのかもしれない。

 

「つめたいよる」 江國香織 著

<あらすじ>

デュークが死んだ。わたしのデュークが死んでしまった―。

たまご料理と梨と落語が好きで、キスのうまい犬のデュークが死んだ翌日乗った電車で、わたしはハンサムな男の子に巡り合った…。

出会いと別れの不思議な一日を綴った「デューク」。

コンビニでバイトする大学生のクリスマスイブを描いた「とくべつな早朝」。デビュー作「桃子」を含む珠玉の21編を収録した待望の短編集。

 

<感想>

江國さんを初体験するなら、この1冊を勧めます。

私は「デューク」を読んで心を捕まれた気がしました。どの文体も江國Wolrdです。

不思議なふわっとした感じを楽しんでください。

 

「落下する夕方」 江國香織 著

<あらすじ>

梨果。健吾。華子 3人の物語。

8年間の同棲の末に他の女に恋して家を出た男、健吾。

その男を自分の生活から切り離せない女、梨果。

健吾の恋のお相手でありながら梨果のマンションに居着く女、華子。

執着と未練と惰性に満ちた小説。

 

<感想>

どこか冷静で整理されている小説。

主人公の梨香が、混乱しながらも、健吾を忘れられず、

健吾と関わっていただけのために、何とかバランスを保とうとしている心情が伝わる。

ラストはかなりせつなくてやるせない。

こういう展開をされたら主人公はたまらないと思う結果で終わる。

江國さんらしい小説と言えるかな?

華子のように生きれたらいいなっと思う。

私はけして華子の真似はできないけれど。

反面、華子のように生きることを望みながらも自分で自分を許せないとも思う。

華子のように生きれたら楽でいいのにってわかっているのに・・・。

 

「冷静と情熱のあいだ ROSS」 江國香織 著

<あらすじ>

穏やかな恋人と一緒に暮らす、静かで満ち足りた日々。

これが私の本当の姿なのだろうか。

誰もが羨む生活の中で、空いてしまった心の穴が埋まらない。

10年前のあの雨の日に、失ってしまった何よりも大事な人、順正。

熱く激しく思いをぶつけあった私と彼は、誰よりも理解しあえたはずだった。けれど今はこの想いすらも届かない―。永遠に忘れられない恋を女性の視点から綴る、赤の物語。

 

<感想>

辻仁成の「Blu」は順正の方から、

江國さんはあおいの方から同じ恋愛を描くと言う手法はなかなか興味を惹いた。

私は両方読んだけれど、あおい側から書いた<Ross>の方が好き。

恋人のすれ違いと言うのはこうして生まれるのかも。