恩田 陸 (おんだ りく)

「夜のピクニック」 恩田 陸 著

第26回吉川英治文学新人賞受賞作

 

<あらすじ>

夜を徹して八十キロを歩き通すという、高校生活最期の一大イベント「歩行祭」。生徒たちは、親しい友人とよもやま話をしたり、想い人への気持ちを打ち明け合ったりして一夜を過ごす。そんななか、貴子は一つの賭けを胸に秘めていた。三年間わだかまった想いを精算するために―。今まで誰にも話したことのない、とある秘密。折しも、行事の直前には、アメリカへ転校したかつてのクラスメイトから、奇妙な葉書が舞い込んでいた。去来する思い出、予期せぬちん入者、積み重なる疲労。気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る―。

 

<感想>

感動したり、泣けるワケじゃなく、ただ、気持ちがあの頃に帰る小説。

友達のこと、好きな人のこと、将来に対する期待と漠然とした不安・・・

いろんなものを絡めて高校時代の青春のきらめきと鬱々とした思いを

24時間かけて80キロを歩く「歩行祭」に凝縮した作品。

設定上、複雑な背景もあり、(ふ~ん)と言う部分もあったけれど、

ただ黙々と歩く事で、今まで考えたくなかった様々なこと、

気付かなかった友達の本質、親のことが見えてくると言うのがわかる気がした。

こう言う単純作業って、一見ムダなようで大切なんだよな。

そして、高校時代に、自分の感情がコントロールできないような事で

ぐちゃぐちゃし、キモチを持てあまして、鬱々するべきなんだよな。

そんな事を思いながら。

この「歩行祭」は、恩田氏の母校茨城県立水戸一高が実際している行事らしい。

本書を読みながら、高校3年の夏の合宿を思い出した。

春季大会を最後に引退。合宿では合宿の練習相手や食事の準備をなどが3年生の仕事。

就寝・起床時間などスケジュールを教師に監視されなかったので、

内緒で仲良し5人男子部室に籠もりバカ話したり、音楽を聴いたりして朝方まで過ごしていた。

と、誰からともなく琵琶湖に日の出を見に行こうと言いだし、片道10キロほどの距離を走って

琵琶湖湖畔まで行き、日の出を見たあの時を明確に思い出した。

朝方とは言え、真夏だったのでとても暑く、寝ていないので途中で挫折しかけたが

何とか日の出前に間に合い、5人で日の出を見た。

あの晩感じた一体感、あの日見た美しい日の出は今も忘れない。

高校生の時にこう言う体験はとても大切かも知れない。