伊坂 幸太郎

「アヒルと鴨とコインロッカー」 伊坂幸太郎 著

第25回吉川英治文学新人賞受賞作

 

<あらすじ>

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は・・・たった1冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!注目の気鋭が放つ清冽な傑作

 

<感想>

中3の息子が「後半1/3からおもしろいから!」と勧めてくれたので

久々に伊坂小説を読んだ。

推理小説や映画が好きでかなり読んでいるからか、散りばめられたパーツで

前半1/3あたりで大筋の展開は読めてしまったけれど、完全にわかったワケではなかったのと、

どんどん加速するStoryに引き込まれて、最後まで読まされた。

で、結果、(おぉーそうくるか!?)と。

この小説は中村義洋監督が瑛太主演で映画化している。どう構成し、どう映像化したのか興味が出た。

小説を読んで映画を観るとガックリくることが多いが、映像次第では映画もおもしろいかもと思う。

文章がお洒落で小気味良く、若年層の男性は読みやすいだろう。

ちなみに、個性的なタイトル「アヒルと鴨のコインロッカー」の意味も小説を読み終える時にはわかります。

 

「死神の精度」 伊坂幸太郎 著

<あらすじ>

「死神」は情報部に指示された人間に近づき7日間のうちにその人間が死んでもいいかどうかを判断するのが仕事。「可」なら8日目にその死を見届ける。彼らは仕事がくるたびに、対象となる人間に近づきやすい年齢や外見となり淡々と仕事をこなす。そんな死神の唯一の好物、それは「ミュージック」。こよなく愛する死神たちはギリギリまで判断を保留し、CDショップに入り浸る。

 

<感想>

「死神の精度」「死神と藤田」「吹雪に死神」「恋愛で死神」「旅路を死神」「死神対老女」の6つのショートストーリーからなる。どの小説も登場人物は死神である男と8日後に死ぬことを「可とするか不可とするか」それに「音楽」の3点である。全ての話は独立したもので直接的に個々の話が絡み合うことはないが次の話と関連性を持たせてあったりしておもしろかった。

「死」を扱った小説だが悲惨さはない。もがきながら生きる人間を冷めた目で見つめる死神の視点で書かれているのがおもしろかった。

私は「恋愛で死神」と「死神対老女」」の2つが好き。

 

「ラッシュ・ライフ」  伊坂幸太郎 著

<あらすじ>

未来を決めるのは神の恩寵か、偶然の連鎖か

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場。並走する4つの物語、交錯する十以上の人生、そして果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し得ごとき現代の寓話の幕が今あがる。脳障害を負った少女とピアニストと道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇する不思議な出来事を最高の筆致で描く癒しと再生のファンタジー。

 

<感想>

だまし絵として有名なのは、エッシャーの城壁と兵士の騙し絵だろう。

まさに騙し絵のような構成の小説でした。

主に5人の登場人物がそれぞれの章では主人公。

仙台と言う街で5人がバラバラに、そして微妙に交錯していくのだがラストにそれが繋がる。重くなく、軽い文章が現代的で良い。これが伊坂氏の魅力だろう。

伊坂氏は登場人物だけでなく時系列までパーツ分類してしまっているが軽く混乱しながらもラストまで読みたくなるし、ラストには読み手側にも時系列が理解できてしまう。かなりの文才を感じる。これから注目の小説家である。